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第1週

●第1話

永いお別れ

 灯りが消えた。
 私は黙って闇を睨んでいた。次第に大きくなるざわめきは、このZigguratの囚人たちの動揺する声だ。私の肉体も、次に起こる何かを待ってざわめき始めている。
 独房の扉が、ギリギリと音をたてて開いた。電力の供給が停止すると機械的にロックされるはずの扉を、誰かが無理矢理こじ開けたのだ。非常灯の赤い光を背に、男が独房に入ってきた。刑務官ではなかった。ここの刑務官は、黒いヘルメットもアーマーも身に付けてはいない。
 床に座り込んでいる私を見下ろして、男は鼻を鳴らした。
 「囚われの姫君は、ベッドより床が好きか」
 「床とはファックしない。ベッドとも」
 「ダーティな姫君だ。……ハロウィン・パーティの時間だ。外に出たくはないか?」
 「何者だ?」
 「質問しているのはこちらだ」
 「……お前は、脚を折った馬に餌を持ってくるような間抜けなのか?」
 赤い逆光の中で、男は笑ったらしかった。
 「<Arachnos>」
 「Arachnos?」
 男は頭陀袋を放ってよこした。
 「ハロウィン・パーティに、そのオレンジ色のドレスは派手すぎる」
 「……」
 「パーティが始まったら、……そうだな、『H.T.』に話を訊け」
 男は身を翻し、通路へと姿を消した。
 やがて、轟音がZigguratを揺るがした。スーパーパワーを持つ犯罪者をも収監する、Zigguratの強固な壁に、巨大な亀裂が走った。非常警報が三流歌手のような悲鳴をあげ、囚人の歓声が聞こえてきた。「BREAKOUT!! BREAKOUT!!」監房の扉が一斉に開いたようだ。爆発でロック機構がいかれたのか、それとも前もって誰かが仕掛けたのか。続いて地鳴りのような足音と、通路を駆け抜けるオレンジ色の囚人服たち。ハロウィン・パーティの始まりらしい。
 男の放り投げてきた頭陀袋を開け、中身を床にぶちまける。入っていたのは、真っ赤なボディスーツ、黒いグローブ、ブーツ……、真新しいコスチューム一式だった。
 花火とハロウィン・パーティ、無料のパーティドレス。相当に大きな組織が用意した、旨そうな餌だ。旨すぎて胸焼けがしそうだ。それでも覚悟を決めるしかなさそうだった。罠だか何だか知らないが、自由になれるチャンスがあるなら食いついてやる。
 囚人服を脱いで、コスチュームを身につける。露出が多いが、動き易い事は確かだ。だらだらと長く伸びた髪が気になるが、そのままにしておいた。
 通路は騒然としている。警報は鳴り止まない。餌を探す蟻のようにウロウロしている囚人服の連中に混じって、スーパーヒーローみたいな派手な格好をした奴がいる。彼らもあの<Arachnos>とやらに、パーティに招待されたのだろうか。


H.T.

 『H.T.』はすぐに見つかった。派手なコスチュームの連中に囲まれていた。黒髪をなびかせて近づく私を目ざとく見つけ、
 「よう"Elder"、あんたもかい? 随分セクシーなカッコで……」
 私は無言で『H.T.』をぶん殴った。
 「ななな何するんだよう」
 「ポルノグラフィの読みすぎで脳をやられたか。その名前で呼んだら殴ると言ったぞ」
 「ひでえ女だ、畜生。そんなだから独房送りなんだぜ」
 周りの連中も、『H.T.』と同じことを言いたそうな顔をしていた。
 「何が起きた」
 「よ、よく知らねえんだよ。爆発が起きて、馬鹿な連中は喜び勇んで外に出て、早速セキュリティに取っ捕まって……」
 「<Arachnos>は?」
 派手な格好の連中が、一瞬緊張した。
 「お、俺も直接知ってるわけじゃないけど、……知ってる奴に仲介してやってもいいぜ」
 「誰だ」
 「……そうだなー、タダで教えるのもなー……」
 「ほう?」
 私の胸元を覗き込んで、腹を空かせたバセットハウンドのような好色な顔をする『H.T.』をひと睨みする。
 「セクシーなワタクシに何かしてほしいのか?」
 「う、いや、えーと、……な、殴られたところが痛むから鎮痛剤が欲しいなあ……なんて」
 すぐそばにあった医薬品の棚から、アスピリンの瓶を一掴み持ち出して、『H.T.』の懐にぶち込む。
 「で?」
 「な、なんだよもう。……Jimmy Dortsだよ。知ってるだろ?」
 「顔と名前だけはな」
 お礼代わりにもう一度助平面をぶん殴ってやった。
 Jimmy Dortsは、通路の片隅で悠然と葉巻を愉しんでいた。脱走する気はさらさら無いといった風情だった。近づくと、葉巻をくわえたまま笑った。
 「確か"Elder Kissme"だったか?」
 こいつも殴られたいらしい。
 「おい、殺気立つんじゃねえよ。……しかしマジで似てるな。ホントに姉ってわけじゃねえのか?」

 私には過去の記憶がない。ある日、ある時、気がついたらどこかの街の路地裏に素っ裸で転がっていて、周りには血まみれの男たちがぶっ倒れていた。経緯はわからない。ともかく、そいつらから服と金を奪い、……そこから先はまた記憶が途切れるのだが……、色々な街を渡り歩き、ある日、ある時、気がついたらParagon Cityにいた。Rikti Warの荒廃から復興中のこの街は、私のようなならず者が住むにはうってつけだった。なぜか懐かしさも感じた。私は気持ちの赴くままに暴れ、暴力の悦楽に酔い、気がついた時にはここZigguratに収監されていた。半分意識もなく、泥酔しているような状態で暴れていた所を、警官隊に包囲され、逮捕されたと、後で聞いた。運の無い女だ。
 収監されてまだ1週間だが、記憶が途切れるという症状は今のところ無い。検査した医師の話からわかったのは、私がミュータントであること、以前ミュータントパワーの爆発(もしくは暴走)状態に陥った事があるらしいが、現在ようやく沈静化・安定化し始めているということ(要するにまだ不安定だということ)。過去の記憶が無いのは、そのミュータントパワーの暴走に関係があるのかもしれない。パワーの大きすぎるミュータントにはままあることらしいが……。
 ここに来て、外に出られない事以上に辟易したのが、顔を合わせる奴が私を見てことごとく、「キスミー!?」と叫ぶことだった。何かのまじないか、それとも全員揃ってのセクハラなのかと悩んだが、答えはある女性刑務官が教えてくれた。この街にいるKissmeというスーパーヒーローが、私にそっくりなのだという。その刑務官が、しつこく「あなたKissmeのお姉さんじゃないの?(Aren't you Kissme's elder sister?)」と訊いてきたおかげで、いつの間にか『Elder Kissme』という可笑しな名前が通り名になってしまい、ますます辟易するはめになっている。……もっとも、別の名前で呼んでもらいたくとも、私は本名など憶えていないのだが。

 焙煎しすぎたコーヒー豆を噛み砕くように、苦い思いを反芻していると、Jimmy Dortsは近くの小部屋を顎で示し、
 「その部屋のロッカーを開けてくれねえか」
 「なに?」
 「俺の相棒の大事な物が入ってるんだよ。先週没収されちまってな」
 細かい用事を頼む奴ばかりだ。小部屋に入って、小さなロッカーを蹴飛ばす。シュールな形になった扉を力任せに剥ぎ取る。中には、囚人から没収した小物を収納してあるらしい。横から覗いていたJimmy Dortsが手を伸ばした。取り出したのは、パイプベッドのフレームから作ったような、歪んだ形のナイフだった。Jimmy Dortsは嬉しそうに目を細めると、尻ポケットにそれを入れた。それが奴の『相棒の大事な物』らしい。まだ何かゴソゴソ探していたかと思うと、今度は私に小さなピルケースを放ってよこす。
 「何だ」
 「『Enhancement』さ。……知らねえのか。ヒーローも使ってる、パワー増強用のナノマシンだ。中のピルを飲めば、あとは勝手にパワーアップしてくれる。……続きはCazeに聞きな」
 「……お前は逃げないのか」
 Jimmy Dortsはくわえた葉巻を振ってみせると、
 「外じゃこいつを喫い難くなった。ここならたらふく喫える」
 「Zigguratは"Smoking Room"に改名した方が、社会のためになりそうだな」
 「違ぇねえ」
 Jimmy Dortsは歯を剥いて笑った。
 Jimmy Dortsの次はCaze、Cazeの次は下水道の中にいるBlake、さらに次はMorben、とたらい回しにされ、ストレスが溜まってくる。


下水道出口。

 「<Arachnos>がお使いゲーム普及組織だとは思わなかった」
 下水道の出口近くに突っ立っているMorbenという男に、言った。私にコスチュームを届けた男と同じく、全身黒ずくめだった。
 「"Elder"、物事には順序というものがあるのだ」
 「刑務所にいるような奴が、それを理解しているとでも?」
 「それもそうだな」Morbenは苦笑した。「だが私も多忙で、お喋りを楽しんでいる暇はない。君にはもう少しお使いゲームを楽しんでもらおう。そこから中庭に出て、Sakai Tamakiという男に会え」

 夜はまだ明けていなかった。外の空気を深呼吸したが、下水道のそばでは、悪臭で胸がいっぱいになっただけだった。非常警報は鳴り止まず、あちこちから煙が上がっている。囚人たちの歓声と悲鳴、セキュリティの怒号。
 Sakai Tamakiは中庭の隅に、腕を組んで立っていた。
 「次は誰に会えばいい」
 私の言葉に、Sakai Tamakiはマスクの奥で笑った。
 「慌てるな。<Arachnos>の偉大な支配者Lord Recluseは、お前の魂に運命的な絆を感じておられる。彼の"Fortunata"であるKalindaも、お前は、Paragon Cityのヒーローとの戦いを勝利へと導く者たちの一人かもしれないと言っている」
 言うことが大仰で鼻につく。ただでさえお使いゲームでストレスが溜まっているというのに、鬱陶しい男だ。
 「しかし、Kalindaもまだ確信を得てはいない。そこで、これから俺様がお前を試験する。本当にお前にその資格があるのか、その力をこの俺様に見せるがいい。まず……」
 「こうか?」
 私は、奴の胃袋を思いっきりぶっ叩いた。
 「ぐ」
 「辛そうだな?」
 地面にうずくまったSakai Tamakiに、言ってみた。返事が無いのでしばらく待った。やがて、中国語らしい言葉で二言三言吐き捨てると、腹を押さえたまま立ち上がり、
 「俺様の腹を殴ってどうする!」
 「顔面の方が良かったか?」
 「だ、誰が俺様を倒せと言った。向こうで馬鹿騒ぎしている連中を何人か倒してみせろ。それが試験だ」

 騒ぎに便乗して脱獄を企てる連中は、あとからあとから中庭に飛び出してくる。


BREAKOUT!!

 無関係な奴を叩きのめす事に、釈然としない思いもあったが、やるべきことは手早く片付けた。不幸な犠牲者に選ばれたのは、私を見て「Kissme!?」と叫んだ男4人だった。犠牲者候補はまだ大量にいるが、これ以上暴れていいものか……、と思いつつ背後を見ると、音も無くSakai Tamakiが立っていた。
 「……ニンジャか?」
 「ニンジャではない。滅多なことを言うな」
 かすかに動揺しているようだったが、気のせいかもしれない。
 「とりあえず、腕だけは確かなようだな。礼儀には欠けるが」
 「<Arachnos>とはどういう組織だ」
 「それを教えるのは俺様の役目じゃない。……ともあれ、今からお前の新しい人生がスタートする。右手の道を行け。ヘリが待っている」
 Sakai Tamakiの姿が消えた。試験には一応合格したらしい。言われた通り、右の道を進んだ。中庭の外れに、不吉な色のヘリが着陸していた。そばに、黒ずくめの男が一人、途方にくれたように立っている。ヘリの操縦士らしい。


<Archnos>のヘリ。

 「ここが終点か?」
 「いいや、出発点だ」
 男は、頭を撫でられすぎた猿のように不機嫌な顔で言った。
 「出発点というのは大抵賑わっているものだが」
 「地下倉庫に爆弾を設置するために出た副操縦士が戻って来ない。奴が戻らないうちは離陸できない」
 「役に立たない屑だな。屑は捨てろ。まともな人材を雇え。……まさか、人材集めにここに来たのか?」
 『操縦士』はそれには答えなかった。
 「頼みがある。副操縦士を捜してもらいたい」
 「その屑を、見つけ次第始末すればいいのか?」
 「馬鹿を言うな。連れて戻るんだ。他の連中にも捜してもらっている」
 「他の連中?」
 「お前と同じく、試験に合格した連中だ。……お前には」彼は100ヤードと離れていない扉を指さした。「あそこを探ってもらおう」
 私はおそらく、相当呆れた顔をしていたはずだ。
 「……あんな近くなら自分で行け」
 「俺はここを離れるわけにはいかん。早く行ってこい。Paragon City全土から、ヒーローがここに向かっているという情報が入った。時間がないぞ」
 舌打ちをして、その地下倉庫に入った。
 「フリーズ! 壁に手をつけ!」
 男の太い声が聞こえた。一発で当たりくじだ。ふざけた茶番だ。人生全てこの調子なら文句無しだ。
 「わかった! わかったから撃つな!」どことなく聞き覚えのある声が言った。「何者だ、お前ら」
 「我々はFreedom Corpsの特派部隊、<Longbow>だ。この暴動の鎮圧のため投入された。同じことを何度も言わせるな」
 「くそ……、俺は<Arachnos>の兵士だ。"Elder Kissme"のことは簡単には喋らんぞ」
 「……誰がそんな事を訊いた。"Elder Kissme"とは何のことだ?」
 「あっ、いや、あの」
 頭が痛くなってきた。
 私は気配を断ち、薄闇に姿を消した。奥に進むと、三人の男がいた。黒ずくめの<Arachnos>の男が壁に手をつき、紅白の派手な格好の二人がその背中にアサルト・ライフルを向けていた。


<Longbow>と<Arachnos>。

 「"Elder Kissme"とは何だ。ヒーローの、あのKissmeに関係することか?」
 私は音も無く片方の紅白男の背後に近づき、狙いを定めてそいつの背に蹴りを見舞った。相手の背骨の砕ける感触に、私の肉体に甘いエクスタシーが走った。相棒がこちらに向けたアサルト・ライフルを蹴り飛ばし、そいつの腹に拳を撃ち込む。
 「……き、Kissme!? まさか!?」
 呻いた男は、私の蹴りを頭部に受けて昏倒した。
 「お、おお、え、"Elder Kissme"じゃないか」
 『副操縦士』の顔を見て、私はもう一度呆れ顔をしなければならなかった。私にコスチュームを届けた、あの男だった。
 「わ、我々は君を助けるためにここに来たんだ」
 「ミミズでも掘り出して、そいつに言え。さっさと出るぞ」
 「あっ、ま、待て。この爆弾を仕掛けていかないことには……」
 まだお使いゲームは終わっていなかったらしい。
 二人でさらに奥に進み、その場にいたセキュリティを片付けて、爆弾を設置した。
 「これでよし。よくやってくれた。さすがは……」
 「ベッドと床、どっちが好きだ?」
 「は?」
 私は『副操縦士』を力任せにぶん殴った。男は見事にぶっ倒れて、床に情熱的なキスをした。
 「床とファックしろ」
 『副操縦士』をかついでヘリまで戻った。『操縦士』はうろたえた声で、
 「ど、どうした。殺されていたのか」
 「私が殴った」
 「お前な……」
 失神している『副操縦士』を、苦労してシートに座らせているうちに、他の連中も戻ってきた。二〇人ほどいた。Lord Recluseとやらは随分と沢山の魂に『運命的な絆』をお感じになったらしい。
 「全員乗り込め。これから『Mercy Island』へ向かう」
 『操縦士』の声を聞きながら、私も搭乗口へ回った。乗り込むのは私が最後になりそうだった。
 一陣の風に、私は空を振り仰いだ。夜明けの空に、彗星のような輝きが無数に飛んでいた。いくつかの光は中庭に落ち、人の姿になった。
 「ヒーローが来た。離脱するぞ。さっさと乗れ!」
 搭乗口に足をかけた時、ヘリのすぐ近くにまた一つの光が落ちた。人の姿になったそれは、真紅のコスチュームを身にまとった、長身の女だった。凛々しいポニーテールのその女は、私を見、そして激しい衝撃を受けたように目を見開いた。
 衝撃を受けたのは、私も同じだったかもしれない。よく憶えていない。そこからの記憶がない。

 何か柔らかいものの上で目を覚ました。
 潮の香りと、甘い香の匂いがした。
 「おはよう。そしてようこそMercy Islandへ」
 上から私を覗き込んでいる女が言った。変わった形のマスクを被っていて、顔は見えないが、女だろう。柔らかな優しい声だった。私は、その女の膝を枕にして横たわっていた。


"Fortunata" Kalinda。

 「よく眠れたかしら?」
 手にしたハンカチで、私の額の汗を拭いながら、女は言った。
 後で聞いたところでは、あの真紅の女と目を合わせた途端、私は失神し、ここに着くまでとうとう目覚めなかったのだという(信じられないことに、その後あの真紅の女は、離陸したヘリをジャンプで追いかけ、機体に何度かキックを見舞っていったという)。
 私は身を起こした。どことも知れぬ、建物の屋上らしかった。私と女の他には、白いマントの男が何人かいるだけで、静かなものだった。潮騒とカモメの声が聞こえていた。
 「……『慈悲の島』、か」
 「そう。あなたの新しい人生のスタート地点。私はKalinda。"Fortunata"。あなたは、……何と呼んだらいいのかしら?」
 私はあの女を思い出していた。Zigguratの中庭に降り立った、真紅の女。私と同じ顔をした女。何かを言いたげだったあの女。この息の詰まるような感じは何だろう。Lord Recluse風に言えば、これが『運命的な絆を感じた』ということなのだろうか?
 「ミス?」
 私は深く息を吸った。呼びかけるKalindaの手から赤いハンカチを奪い取り、きりっとポニーテールを結った。
 「Elder Kissme」
 「……ようこそ、ミス・Elder Kissme」Kalindaは、マスクの奥で微笑したようだった。「ようこそ、<Arachnos>へ」(*1)

 

[注釈]

*1:
以上、長くなりすぎてどうしようかと思いましたが、CoVのチュートリアルである「BREAKOUT」編でした。ダークな世界観なので、せいぜいカッコつけてハードボイルド風に書いてみました。作劇上の都合で創作した部分が多々ありますが、基本的にゲーム内の展開に従っています。悪役が粛々とお使いをやってるのはいかがなものかと思いましたが、そこは笑いどころなのだと悟りを開きました(^-^)。CoVマイキャラ紹介のページに書いてあるElder Kissmeの設定をベースにして書いていますので、やはり彼女は記憶を失ったKissmeの母親で、いつか記憶と正義の心を取り戻し、娘の所へ帰る日は来るのでしょうか...? というお話(の序章)になっています。あと、中盤でSakai Tamakiに小芝居をさせていますが、どうも彼は<Tsoo>のスパイらしいので、その辺の含みをもたせました。ラストでKissmeを含むヒーロー軍団が暴動鎮圧のために到着しますが、これはゲーム中にはありません。でもムービーでやってほしかったナ(^-^)。

●第2話

愚か者死すべし

 「Elder Kissme、まずArbiter Diazに会いなさい」Kalindaは言った。「多くの派閥を抱え、内紛の絶えない<Arachnos>において、Arbiterはその全てを調停する役割を持っています。そして、あなたに力を貸してくれるはずです(*1)」
 いかなる場合でも、組織というものは崩壊の危機の足音を背中に聞きながら走っている。ならず者戦闘隊である<Arachnos>も、デファクト・スタンダードには見事に準拠しているようだ。
 「そして、次にあなたがすることは、<Arachnos>に忠誠を誓うことです。このRogue Islesにいたいと思うなら」
 「忠誠をね」
 口元をマスクで覆っていても、私の皮肉な微笑は、Kalindaには気づかれてしまっただろう。
 「<Arachnos>は味方にも敵にもなります。あなたの働き次第で。もし<Arachnos>を裏切るような事があれば、それはあなたの人生での最後の仕事となるでしょう」
 「……」
 「怖い目をするのね、Elder Kissme。……あなたには、裏切り者の末路がどうなるか、知ってもらいましょう。<Longbow>のことはご存知?」
 「Freedom Corpsの特派部隊」
 どこかで聞いた台詞を、そのまま言ってみた。
 「そう、Ms.Liberty配下の。我々のスパイであったBurchが、今度は我々の機密情報を<Longbow>に売ろうとしています。愚かな裏切り者Burchを、Elder Kissme、あなたの手で始末しなさい」

 

 さて、そんなわけで(*2)、最初の舞台となるMercy Islandでの、最初のMissionは、組織の裏切り者の始末なのです。夜のZigguratを舞台にした「BREAKOUT」が陰鬱な印象だったので、昼間のMercy Islandはちょっとばかりほっとします。いつも曇天なので気分爽快とはまいりませんが。

 取引は船着場で行われるらしいので、組織が用意してくれた小船に乗り込んで、あっという間に現場に到着。「BREAKOUT」にも登場した<Longbow>の姿がちらほらと……(*3)。


現場。

 他のArchetypeなら正面から乗り込んでいくところですが、私はStalker(*4)。闇に潜んでの暗殺を最も得意とするArchetypeです。Hide(*5)で姿を隠し、敵の背後に忍び寄ります。敵は気づきません。そのまま、狙いすましたStorm Kick! 2倍ダメージ! 相手は一瞬で瀕死。おまけのThunder Kickを1発追加すれば、あっという間に戦闘終了です。さっと物陰に引っ込んで、息をひそめて再び姿が消える(Hidden)のを待ちます。


<Longbow>を倒せ。

 そうやって戦っているうちに、とっぷりと日も暮れ、<Longbow>の下っ端たちは静かに全滅しました。

 標的の裏切り者Burchは、少々奥まったところで発見。<Longbow>の中ボス、Brucknerというエージェントも一緒でした。


Brucknerと裏切り者Burch。

 ……初仕事でいきなり、中ボス二人を相手にしなければならないとは、さすが悪の組織<Arachnos>、甘くないです。ここでももちろんHideで姿を隠し、Burchの背後に接近してCritical Hitの一撃。

 「しまった! Kalindaの手の者か!」

 Burchが何か叫びますが問答無用。華麗なキック連発で裏切り者を地に沈め、返す刀で<Longbow>のエージェントをぶっ倒し、血まみれのMission Complete(*6)。

 ああ、これが悪の第一歩なのね……。

 

 「素晴らしいわ、Elder Kissme」
 私が持ち帰った、裏切り者Burchのヘルメットを撫でて、Kalindaは言った。
 「Burchは、Ghost Widowに対して『何か』を計画していたため、処罰されました」
 「『何か』?」
 「ヒントをあげましょう。『彼は単独犯ではなかった』」
 それは、Ghost Widowに敵対するグループが存在した(あるいは今もまだ存在する)という意味だろう。
 「Arachnosには多くの派閥があり、覇権を巡って対立しています。Lord Recluesに次ぐ力を持つ者である、Captain Mako、Black Scorpion、Sciroccoもまた同じく……(*7)。彼ら全員が『Ghost Widow狩り』を心待ちにする理由を持っているということです。憶えておきなさい、Elder Kissme」

 

[注釈]

*1:
「Arbiter」はCoHでのTrainerにあたる存在で、Lv Upを担当します。

*2:
いきなり文体が変わってしまってナンですが、全部が全部ハードボイルド風だと書くのも読むのも辛いと思ったので、今後CoV日記はこんな折衷方式でやってみようかナと思ってます。ダークなところも、はじけてるところも、どちらもCoVの魅力ですからネ。(^-^)

*3:
Freedom Corpsメンバーということで、CoHでは序盤散々お世話になった、Enhancementの販売員と同じ格好です。蹴散らすことに少々罪悪感も感じたりして(^-^;

*4:
CoHでのScrapperに対応するArchetypeで、Scrapper同様にPromary:Melee, Secondary:Defense。他のGameでいえばRogueに相当し、(PvPで問題になるほどの)激烈な攻撃力と、低いHPを特徴とします。Scrapperというより、むしろMelee-Blaster(いわゆるBlapper)の方が近いかもしれません。

*5:
Stalkerの持つStealth/Defence Buff Power。SecondaryのLv.1 Powerなので、Stalkerは必ずこれを持っています。これを発動するとHidden状態になり、その状態からの攻撃は必ずCritical Hit(2倍DMG)となります。ただし、1回攻撃するか、もしくはダメージを受けるとHidden状態は解除されてしまうので、Hide発動中は全攻撃2倍DMG、とはなりません。

*6:
CoHでもMission Complete時には短いファンファーレが鳴りますが、CoVのは、お腹に響く、BAD ENDに聞こえなくもないBGMで、ダークな気分になります。

*7:
Ghost Widow、Captain Mako、Black Scorpion、Sciroccoは、Lord Recluesに次ぐ実力者で、言わば<Arachnos>の最高幹部です。中でも、キュートなGhost Widowの人気は高いようで、公式Forumに、「非公認Ghost Widowファンスレッド」なるものが誕生したりしていました。今後のStory Arcで、そのキュートな彼女の姿が拝める……といいですネ。

●第3話

暗いトンネル

 蛇がいるのよ、とKalindaは言った。
 「蛇?」
 「この群島にはね」
 「別段珍しくもないと思うが?」
 Kalindaは愉快そうに喉を鳴らした。
 「そうね。でも、二本の腕がある蛇は、そうそういないと思うわ」
 ……Paragon Cityで、歩く植物や半機械化人間など、おかしなものはたくさん見てきた。その程度で驚くほど純情ではない。
 「先住種族と言えないこともないけど、近頃少しばかり目障りになってきたわ」
 「目障りなら、掃討すればいい」
 「ええ。だからあなたにも手伝ってもらおうと思って」
 「……」
 まさしく薮蛇だった。(*1)

 

 Kalindaから依頼される(*2)Missionの二つ目は蛇退治です。普通の蛇ではありません。固有名詞が付いています。名前はSapphus。名前だけじゃありません。腕まで付いてます。剣まで持ちます。蛇のくせに。

 Kalindaに教えてもらった場所に赴き、地面の亀裂に飛び込むと、そこはもう蛇の巣。生意気にも壁に松明が掲げてありますが、薄暗い穴倉の中です。Hideで姿を消し、とっとことっとこ進むと……、蛇が! 2匹も!


<Snakes>。

 だが悪の人は蛇ごときには負けん! む! このままではノリがヒーロー時代と同じ!

 ともかく、毒を吐くわ斬るわ殴るわ蹴るわ、いや足が無いので蹴りませんがね、序盤の敵としてはなかなか嫌らしい奴です。言葉まで喋ります。爬虫類のくせに。(*3)


蛇狩り開始。

 そんなこんなでSapphusを倒し、Kalindaに連絡すると、今度は、蛇の群れを掃討に出かけた<Arachnos>の部隊を助けて、蛇を一掃してほしいとのこと。

 ヘリに乗って現場に急行すると、あちこちで、蛇に睨まれたカエル状態の<Arachnos>の下っ端たちの姿が。まったく役に立たない連中です。蛇を倒して助けてやると、嬉しそうに付いてきて、その後の戦闘に加担してくれます(*4)。


行け下っ端。

 下っ端兵士の力も借りて、蛇どもを一掃。途中で「蛇をたくさん倒したで賞」のBadgeをもらいました。でもBadgeの名前が「The Mongoose」ってのはどうかと思いました。

 現場から戻ると、Kalindaからもう一つ蛇退治。蛇どものリーダー格、Syrusを始末してネ! ということで……、蛇はそろそろお腹いっぱいです、Kalinda。

 

 Syrusの首を持ち帰った私を見て、Kalindaは微笑んだ……ようだった。口元に手を当てると、マスクの一部が外れ、唇があらわになった。初めて見る彼女の唇は、眩暈がするほど赤かった。
 Kalindaは私の前にひざまずくと、私の手を取り、その赤い唇を押し当てた。
 「これは私からの祝福」手に落ちた一片の雪がとけて消えるようにKalindaは唇を離し、言った。「そして<Arachnos>の祝福」
 Kalindaは立ち上がり、再びマスクで顔を覆った。
 「あなたの働きは<Arachnos>に認められました。おめでとう」

 

[注釈]

*1:
CoH日記のサブタイトルは、ヒーローへの愛と感謝を込めて、全部ライダーシリーズのサブタイトルのパロディなのですが、CoV日記の方はそれだと合わないので、ハードボイルド小説のタイトルを拝借しています。適当にもじっておくつもりだったのですが、2話のタイトルなんかは他にいじりようがなくて、内容に合っていればそのままでも良し! と、方針転換しました。なお、既読もあれば未読もあります。

*2:
CoHの場合は「依頼される」ですが、CoVの場合は「命じられる」の方が正しいような気がしますネ。

*3:
「Yesssss, Massssster!」。爬虫類の喋り方は、Cazic-Thuleの蜥蜴人の時代からsssssと相場が決まっております。

*4:
こいつらに限らず、Missionで人質を助けたりする場合、Hideで姿を隠すと、途端にこちらの姿を見失ってその場に立ち止まり、付いてこなくなります。仕方なく、Hide無しで戦うことになってしまうのですが、Stalkerらしい戦いが出来なくなるのが残念です。

●第4話

野獣死すべし

 目の前の男は、自慢の分厚い胸板を揺らして笑った。
 「あんた、Kalindaのお気に入りのElder Kissme。話聞いてるぞ」
 Kalindaはどうやら私を気に入っているらしい。反抗的かつ非協力的なので、嫌われているとばかり思っていたのだが。確かに、Syrus狩りの件で正式に<Arachnos>の一員と認められてからは、妙に優しい。
 その妙に優しいKalindaに、暴れ足りないなら彼に会ってみてはどうか、と紹介されたのが、目の前で笑っている男、Mongooseだった。横から見ても正面から見ても同じ幅ではないかと思えるような、分厚い体をした男だった。薄汚れた体は、長い間風呂に入っていないだろうと思える、凄い体臭を漂わせていた。荒くれ者だが、蛇殺しとして名を馳せた男らしい。だからといって、Mongooseというおかしな仇名を付けられて、恥ずかしくなかったのだろうか。
 「俺、Mongoose。イカス名前。ん?」
 自称らしい。
 「暴れ甲斐のある仕事を、させてくれると聞いたが?」
 「おう。あんた荒事得意、聞いてる聞いてる。任せろ。この高い壁の中、Mercy地区、銀行ある。金ある。金盗ってほしがってる」
 「そんな銀行があるか」
 「ある。盗っても捕まらないぞ。俺、この島のこと詳しい。大丈夫。分け前もやる」
 「蛇狩りで報奨金をもらっているだろう。そんなに金がいるのか」
 「報奨金なんて、これっぽっち。全然ダメ。俺、金いる」
 「ほう。何に遣う?」
 Mongooseは答えずに、ニヤニヤと笑いながら頭を掻いた。聞いても気分の良くなるような答えではなさそうだった。
 「……わかった。手伝おう」
 「ありがたい。絶対捕まらない。安心しろ」
 「ふん。だが、お前の方がよほど銀行強盗向きだと思うが?」
 Mongooseはぶんぶんと片手を振った。
 「ダメダメ。俺有名人。すぐばれる。すぐ捕まる」
 「……」
 礼儀として一発殴ってやった。(*1)

  

 蛇取り名人のMongooseさん(推定37歳独身)から、銀行強盗の仕事を請け負いました。Mercy Islandでは、Kalindaに続いて二人目のContactです。どうして蛇取り名人が銀行強盗を依頼してくるのか釈然としませんが、まあ分け前もくれるらしいので、やっておきましょうか。


標的の銀行。

 一応Hideで姿を消してから侵入しますが、誰がどう見ても真昼間。一般市民も窓口に並んでいる時間です(*2)。無茶です。こういうものは普通、閉行直前に二人組で飛び込んで警備員を射殺して、盗難車で逃亡と見せかけて電車で逃げて、追いかけてきた刑事にリップ・ヴァン・ウィンクルの話なんか聞かせちゃった上に射殺して、走る列車から飛び降りて、女を見つけて陵辱している相棒にベトナム戦争の話なんか聞かせちゃった上に射殺して、気がついたらコンサートが終わった後のホールの中で、外に出たらどこからともなく銃弾が飛んできてエンディングみたいな、なんかそんな感じだと思うのですよ。ああっ、だんだん何がなんだかわからなくなってきました。


客が。

 ともあれ、依頼の中に「退路確保のために警備員を倒せ」という無茶な一文もありますので、目についたところから、警備員を倒して進みます。Hideで時々姿が消えるとはいえ、まるで義は我にあり! とでも言わんばかりの堂々とした態度です。何様なんでしょう私。

 一般市民の悲鳴を背中で聞きながら、金庫室に到着。厚さ1メーター、総重量ン十トンといったところの大金庫扉が目の前に。


巨大金庫扉。

 普通なら支店長や警備員を脅して開けさせるところですが、目についた警備員は全部倒してしまったし……。Mongooseさん(推定37歳独身)、どうしたらいいですか?

 「壊せばいいんじゃね?」

 こういうのは、無計画とか無鉄砲ではなく、無謀というのだと思います。


破壊完了!

 それでも扉を壊せてしまうのがSuper Villain。

 そしてお金いただき&とんずらなのさ!


Money!!

 

 薄汚れた頭陀袋に入った札束の数に、Mongooseは子供のように喜んだ。
 「あんたすごい! すごい!」
 私の手を握ってぶんぶん振り回した。ばたばたされると物凄い体臭が漂ってくる。爬虫類の、あの臭い血のにおいも混じっていた。
 「分け前、やる。半分持っていってもいいぞ」
 丁重にお断りして、札束を一つだけ貰った。ナンバー登録されているかもしれないダーティな金を、大量にもらう趣味はない。札束一つくらいなら、Kalindaが苦笑しながら洗浄してくれるだろう。……半分は手数料として差し引かれるだろうが。
 「それでいいのか? 本当にいいのか? もっと持っていけ」
 「礼がしたかったら携帯電話を買え」
 「電話か? 電話が欲しいのか?」
 「お前が使うんだ。次の仕事は、その電話で連絡しろ」
 この臭い男と顔を付き合わせるのは二度とご免だ。(*3)

 

[注釈]

*1:
「xxx死すべし」は2話で使ったばかりですが(あのタイトルの小説は存在します)、銀行強盗といえばやっぱりこのタイトルが真っ先に思い出されてしまったので……。

*2:
夜中に侵入しても客はいるんですけどネ。24時間営業の銀行なのかもしれません。

*3:
CoV序盤の、最も印象的なMissionの一つ、銀行強盗編でした。ボコボコになって、最後にどかーんと壊れる金庫扉や、続々とやってくる警備員など、見せ場あり緊迫感ありの楽しいMissionです。

●第5話

血の収穫

 明け方、ベッドの中で電話を取った。馬鹿正直に携帯電話を買ったらしいMongooseからだった。
 『もしもし、俺、Mongoose』
 「何時だと思っている」
 『な、何時だ?』
 「時間を訊いたんじゃない」
 『そ、そうか。Elder Kissme、蛇好きか?』
 「嫌いだ。お前と一緒にするな」
 ベッドの上に体を起こした。裸の背中に夜明けの空気が冷たい。
 『蛇狩りの仕事、ある。大物。この辺で一番強い。やっと巣を見つけた』

 夜明けのスラムは、靄の中で、死んだ川魚のように淀んでいた。
 現場には三人の男女がいた。黒白の派手な男と、とても生娘には見えないスレンダーな女、もう一人は触角のついたロボットみたいな奴だった。
 「お前たちが蛇マニア三人組か」
 「い、いきなりご挨拶だなキミは……」
 黒白男が面食らったように言った。
 「現場に行けば、自分の弟子が三人待っていると、Mongooseに言われた」
 「あの男は誰でも弟子にしたがるのよ」女が気だるそうに言った。「あんたのことも弟子だって言ってたわ、Elder Kissme」
 今度あの臭い男に会ったら、二、三発殴っておこう。
 「ともあれ、今日一緒に仕事をすることになったGenericHero 01だ。よろしく」
 黒白男は右手を差し出してきたが、私はきっぱりと無視した。ならず者同士、手を握りあっても何の証明にもならない。
 「ヒーローなのか?」
 「昔の話さ。あまり思い出したくない過去だけどね。ちょっと他人に名前が似てるからって、人の名前を取り上げやがって……」
 「身の上話は酒場でやれ」
 他人の過去を聞いても苛立つだけだ。
 「う、うむ、そうだな。……あ、こちらの女性はAlimacだ」
 女がいつまでたっても自己紹介しないので、GenericHero 01が言った。人を見下すような目をする女だった。当然のように握手も求めてこなかったし、私もするつもりはなかった。
 「Mongooseから獲物のことは聞いたかね、Elder Kissme」
 「大物としか聞いていない」
 「そうか。標的はHigh Priest S'thacoだ」
 「宗教関係者か」
 「まあそうだ。蛇どもの宗教的リーダーというところだな。そいつの率いるグループが、<Arachnos>にとって邪魔になってきた、ということらしい」
 そういう仕事こそ蛇好きのMongooseにやらせておけ、と言いたかったが、やめておいた。寝起きの不愉快な気分を払うのに、ひと暴れするのもいいだろう。
 「よし、ではとりあえず突入だ。のんびりしていては、蛇が我々のにおいに気づく」
 「待て、そっちのロボットは何だ」
 GenericHero 01は、傍らのロボットをじっと見てから、再びこちらに顔を向けた。
 「こいつはDELTA PRISONER13。宇宙人だ。気にするな」
 「……」
 気にするのはやめようと思った。

 

 すべてのStalkerがLv.6で習得可能なAssasin Strike(以下AS(*1))は、Stalkerの華です。ASを持っていないStalkerなどひよっこ! ていうかひよこ未満! ASを習得したらやっとひよこ! じゃあ成長したらニワトリに!? いえ、ニワトリは関係ありません。ともかく、ASはそれほど重要です。なぜならASこそがStalkerの存在意義、レゾンデートル、アイデンティティ、シュトゥルム・ウント・ドランク、ノーメンクラツーラ、ドラドラバンバンでハネ満です。要するにとても大事だということなのです。

 ASは、ただ使っても、撃つのがとても遅いくてヘボいDDでしかありませんが、Hide(Hidden状態)から使用することで、その威力は数倍になります。その威力たるや、ちょっとEnhancementを入れるだけで中ボスクラスを一撃で倒せる(!)ほどです。

 そんなASを習得して無敵状態のElder Kissmeですが、今回は初のTeam Mission(*2)。一緒に戦ったのは、Alimacさん(Corruptor)、GenericHero 01さん(Corruptor)、DELTA PRISONER13さん(Brute)の三人です。壁役がいて、回復・Buff役もいて、攻撃力もあり、なかなかバランスの良いTeamでした。

 Contactはまたしても蛇取り名人Mongooseさん(推定37歳独身)で、Mercy Islandでの最後の<Snakes>狩りとなる、蛇の神殿Missionです。


蛇の神殿。

 このMissionの見せ場は、やはり最後の部屋である蛇の神殿。中央に女性蛇の像があり、周りには蛇どもがうじゃうじゃと……。


蛇群を倒せ。

 さすがに突撃するのは躊躇われましたが、Alimacさんの「無軌道な若者らしく突撃!」という無謀な一言で(*3)全員突撃。AlimacさんがFire Blast、DELTA PRISONER13さんがFire Melee、GenericHero 01さんがThermal Reasonaceと、三人揃って炎のオンパレード。一人地味な私(*4)。でもASの大ダメージでちょっとだけ存在感をアピール。やはりこの派手な大乱闘こそ CoH/CoVで最も楽しい部分ですネ。


Mission Complete!

 ボスのHigh Priest S'thacoはなかなか巨大。sssssと言ったりふしゅーと毒を吐いてきたり。難敵ですが、そこは百戦錬磨の四人Team、見事にボスを倒し、蛇の神殿を壊滅に追いやったのでした。

 

 四人揃ってMongooseに報告しよう、と几帳面なことを言い出したのはGenericHero 01だった。馬鹿馬鹿しいと思ったが、AlimacもDELTA PRISONER13も無言のまま反対しなかった(積極的に賛成もしなかったが)ので、なし崩し的にあの臭い男の前に行くことになった。
 GenericHero 01の持ってきたHigh Priest S'thacoの首を見て、Mongooseは潰れた岩みたいな顔を全部笑顔にして喜んだ。ひとしきりGenericHero 01を褒め称えてから、買ったばかりの携帯電話を取り出して、どこかにダイヤルした。
 私の携帯電話が着信を知らせた。取った。
 『もしもし、俺、Mongoose。あんたすごい、すごい』
 私は携帯電話をゆっくりしまってから、Mongooseの腹を思い切り蹴った。
 「目の前の人間に電話するな!」
 「痛いぞ、Elder Kissme。あんた、電話で連絡しろと言った」
 「お前は馬鹿正直じゃなくて正直馬鹿だ」
 腹の立つ奴だ。ただでさえ寝不足で苛立っているというのに。蹴ってもびくともしないところがまた腹が立つ。慌てたGenericHero 01が私を羽交い締めにし、Alimacは心なしか愉快そうな顔でこちらを眺めていた。DELTA PRISONER13は相変わらず無言だった。
 「しかしElder Kissme、あんた筋がいい。俺の弟子になれ。もっと鍛えてやる」
 「妄想は数学のテスト用紙の裏に書け」
 私は吐き捨てた。礼儀として右手の中指を立ててみせることも忘れなかった。
 「そうか……、残念」Mongooseの野卑な顔が、少しばかりしゅんとなったようだった。「まあいい、あんた達、強い。もっといい仕事できる。Port Oakesに行ってブローカーに会うといい。もっと稼げる」
 「ブローカーねぇ……」
 誰かが呟いた。誰の声かは判然としなかった。
 私たちは無言のままチームを解散した。(*5)

 

[注釈]

*1:
実際はPower Setごとに名前が異なり、MAでは「Assasin's Blow」という名前です。が、攻撃がHitすると「Assasin Strike」と表示されるため、このように総称されます。

*2:
クローズβでは何度も経験済みですが、製品版では初めてということになります。

*3:
前回今回と「無謀」がテーマになってる気がしないでもないのですが、最近変更があり、Lv.10までは死亡してもDebtをもらわないようになりました。蛇の神殿に挑戦する頃は、精々がLv.6-8なので、ここで死んでも痛くも痒くもないのではあります。

*4:
Hideからの攻撃が強いStalkerは、基本状態がHideであり、要するに地味とか派手とか言う以前に、普段ほとんど姿が見えません。(^-^;

*5:
おそらくMercy Islandでの最後のMissonとなるであろう、蛇の神殿編でした。CoHなら、この後次のContactを紹介してもらい、Contact Windowに表示されたその新しいContactを目指して次のエリアに行くことになるのですが、CoVでは紹介してもらえません。Mongooseの最後の台詞をちゃんと読んでいればわかるのですが、 CoHと同じつもりでプレイしていると、「いつまでたっても新しいContact紹介してもらえないよ〜」とオロオロすることになります。注意。

[追記]
今回登場していただいた実在Villainの方々は、もちろんこんな殺伐としているわけではなく、とてもチャーミングな方々です。

 

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